東京と大阪の二拠点でリモートワークをしていると、「今年ガジェットにいくら使ったのか」を聞かれても即答できないことに気づきました。デスク周りの投資、移動用の小物、拠点ごとの細かい買い足し――支出が2つの生活に分散しているせいで、家計簿アプリを見ても総額が一目で出てこないのです。
これは私だけの悩みではないと思います。月に1〜2回新幹線で移動しながら働く二拠点ワーカーは、単身赴任者とも実家暮らしとも違う独特の支出パターンを抱えています。拠点を1つ増やすということは、家具・小物を「置くか」「持ち運ぶか」の判断を、買い物のたびに迫られるということでもあります。
この記事では、二拠点のガジェット費用が見えにくくなる理由を整理したうえで、支出を仕分ける物差しを提案し、私自身の1年間の実感を振り返ります。金額そのものより「どう把握すればいいか」という考え方を持ち帰ってもらえる内容を目指しました。
二拠点のガジェット費用は、月々の家計簿だけでは把握しづらい構造になっています。「拠点固定費」(置きっぱなしにする物)と「携行費」(毎回持ち運ぶ物)に分けて年単位で棚卸しすると、どこにお金が集中しているかが見えてきます。
二拠点のガジェット費用が「見えなくなる」理由
二拠点ワーカーの支出が把握しづらいのには、構造的な理由があると考えています。
まず、購入のタイミングが分散します。デスクを買ったのは春、イヤホンを買い替えたのは夏というように、支出が年間を通じて散発的に発生するため、レシートを振り返らない限り合計額を意識する機会がありません。
次に、支出のカテゴリが曖昧になります。デスク周りの投資は「仕事道具」、移動用のモバイルバッテリーは「生活雑貨」というように、家計簿アプリ上では別のタグが付きがちです。本来は同じ「二拠点を維持するための費用」なのに、集計時にバラバラに扱われてしまいます。
さらに、拠点ごとに財布の感覚が分かれることも影響します。大阪の拠点に置く物は「暮らしの投資」、東京に持ち込む物は「必要経費」と、無意識に別枠で考えてしまう人は少なくないはずです。
以前、二拠点に同じデスク環境を作る初期費用という記事で、これから二拠点のデスク環境を整える人向けに費用の「試算」を出しました。今回はその続編として、実際に1年間運用した後の「実績」を振り返る記事になります。試算と実績を並べて読むと、見積もりのどこが甘かったかも分かりやすくなると思います。
支出を仕分ける物差し「拠点固定費」と「携行費」
総額を把握する第一歩として、私は購入した物を2種類に仕分けるようにしています。
ひとつは「拠点固定費」です。デスクやチェアのような大型の家具は、新幹線で運ぶ対象にはなりません。私の場合、本拠点である大阪に投資を集中させ、東京の拠点はあえて持ち込まずに省スペースな構成で割り切るという判断をしました(詳しくは東京と大阪、二拠点それぞれの机をリアル公開で書いています)。つまり同じ物を2つ買うのではなく、「どちらに置くか」を決める費用という位置づけです。
もうひとつは「携行費」です。モバイルバッテリーやイヤホンのように、移動のたびにカバンへ入れる物がこれにあたります。こちらは拠点を選ばず、1つ買えば両方の拠点で使い回せるのが特徴です。ただし紛失・故障のリスクは拠点固定費より高く、買い替えサイクルも短くなりがちです(携行品の管理については二拠点ワーカーの荷造り時短術でも触れました)。
私が実際に使っている代表的なアイテムを、この2軸で整理すると次のようになります。
| 製品 | 分類 | 二拠点での扱い |
|---|---|---|
| LOOKIT 電動昇降デスク AJ-E1260 | 拠点固定費 | 本拠点(大阪)に1台のみ設置 |
| EastForce エイリアンチェアプロ | 拠点固定費 | 本拠点(大阪)に1台のみ設置 |
| Anker Power Bank(Fusion, 10000mAh) | 携行費 | 移動のたびにカバンへ携行 |
| AirPods Pro 第2世代 | 携行費 | 常時携行・両拠点で使用 |
| Apple Watch | 携行費(常時装着) | 身に着けたまま移動するため拠点を選ばない |
拠点固定費は1件あたりの金額が大きく、携行費は1件あたりは小さくても購入頻度が高いという傾向を感じています。年間の総額を考えるときは、この2つを別々に足し合わせた方が実態に近づきます。
LOOKIT 電動昇降デスク AJ-E1260は半年使用のレビュー記事を書いた製品で、本拠点の作業環境の中心になっています。
チェアも同様に、ゲーミングチェア vs ワークチェアで比較した結果、本拠点に据え置く形に落ち着きました。
本文中の価格は執筆時点の公式サイト掲載価格であり、私が実際に購入した当時の価格とは異なる場合があります。購入時期によってセールや改定で価格が変動する点にご注意ください。
私の1年間の実支出内訳
ここからは、実際に1年間で二拠点のガジェットにいくら使ったのか、私自身の感覚を振り返ります。
実は二拠点生活を始めたのが去年で、その年はデスク・モニター・チェアなどの初期投資だけで10万円くらいかかりました。これは一時的な大きな出費で、毎年発生するものではありません。
デスクやチェアといった「拠点固定費」を除くと、イヤホンやApple Watchのバッテリー交換などを含めても年間2〜3万円程度に収まる感覚で、去年1年間トータルで見ると初期投資込みで10万〜15万円くらい使った印象です。
体感としては拠点固定費の方がお金がかかっています。デスクやチェアは壊れにくく長く使えるのに対し、バッテリーやイヤホンは数年で寿命が来て買い替えが発生するからです。固定費はすでに揃えたので、今後は携行品が支出の中心になっていきそうです。
一番買ってよかったのはAirPods Proとモバイルバッテリーです。どちらも毎日使うものなので、便利さを実感する機会が特に多いです。逆に無駄だったかもと感じるのはマウスです。トラックパッドで十分なことが多く、持ち運びを忘れることもあり、タイピングとショートカットキーを使いこなせれば無くてもそこまで困らないと感じています。
公開価格から見る「拠点固定費」の目安
振り返りの参考として、私が実際に使っている拠点固定費・携行費の代表アイテムについて、メーカー公式サイトに掲載されている現在の価格を確認してみました。
LOOKIT公式サイトによると、電動昇降デスク AJ-E1260の販売価格は39,980円(税込)です[1]。ダブルモーター・5年保証という仕様を踏まえると、大型家具としては比較的手を出しやすい価格帯に入ります。
一方、携行費の代表例であるAnker Power Bank(Fusion, 10000mAh)は、Anker Japan公式オンラインストアで8,990円(税込)と案内されています[2]。モバイルバッテリーと充電器を兼ねる分、単機能の製品より価格は高めですが、荷物点数を減らせる点は二拠点移動との相性が良いところです。
このように、拠点固定費は1件あたり数万円、携行費は1件あたり1万円未満に収まることが多いというのが、公開価格から見える大まかな傾向です。ただし携行費は買い替えサイクルが短いため、年間で合計すると拠点固定費に迫る場合もあります。
イヤホンについても同様で、AirPods Pro 第2世代は常時携行するアイテムとして両拠点で使っており、新幹線で使えるノイキャンイヤホン比較や所有イヤホンを二拠点の在宅ワークで使い分ける実際で詳しく書いています。
IT品質規格者視点:高い買い物ほど「壊れたときの対応コスト」まで計算に入れる
本業でIT企業の品質管理(QA)に携わっている立場から、支出を考えるときにもう一つ意識している軸があります。それは、購入価格だけでなく「壊れたときにどれだけ困るか」まで含めて費用を捉えるという視点です。
拠点固定費にあたるデスクやチェアは、故障した場合の影響が大きくなりがちです。修理や買い替えの手配をしている間、その拠点では快適に作業ができない状態が続くことになります。だからこそ購入時には、保証期間やサポート窓口が国内対応かどうかを確認するようにしています。この考え方はIT品質規格者が教える「本当に品質が高いガジェット」の見抜き方でも整理しました。
一方、携行費にあたる小物は、壊れてもすぐに買い替えが利くという点で対応コストは相対的に低くなります。多少価格が高くても、耐久性や保証よりも「軽さ」「兼用性」を優先して選ぶ判断も合理的だと考えています。
- 大型家具にお金をかける根拠が明確になる(壊れた時の影響が大きいから)
- 携行品は多少の消耗を前提に選べるようになる
- 年間の総額を「固定費+変動費」に近い感覚で見積もれる
- 厳密な会計処理ではないため、税務上の経費区分とは別物
- 仕分けの境界が曖昧な製品(モニターアームなど)も存在する
まとめ:二拠点のガジェット費用を可視化する3ステップ
二拠点のガジェット費用は、意識して仕分けないと総額が見えにくい構造になっています。最後に、私が実践している把握の手順を整理します。
- 購入した物を「拠点固定費」(置きっぱなしにする物)と「携行費」(持ち運ぶ物)にラベル付けする
- 月次ではなく年1回、まとめて棚卸しして合計額を出す
- 壊れたときの対応コスト(保証・サポート・買い替えの手間)も判断材料に加える
二拠点ワーカーが投資した「一生もの」ガジェット5選でも書いたとおり、長く使える物にお金をかけるほど、後から振り返ったときの費用対効果は見えやすくなります。逆に、頻繁に買い替える携行品ほど、記録を残しておかないと総額が把握しづらくなる点には注意が必要です。
- 二拠点のガジェット費用を年単位で振り返りたい人
- 大型家具と携行品を同じ物差しで比較して悩んでいる人
- すでに家計簿アプリで細かく費目管理ができている人(この記事のフレームがなくても十分把握できています)
金額の正確な総額よりも、「何にお金が集中しているか」を年に一度確認する習慣のほうが、二拠点生活を長く続けるうえでは役に立つと感じています。次にガジェットを買うときは、ぜひ一度「拠点固定費か、携行費か」を自分に問いかけてみてください。
参考(一次ソース)
- LOOKIT公式サイト 電動昇降デスク AJ-E1260 商品ページ
- Anker Japan公式オンラインストア Anker Power Bank(10000mAh, Fusion, Built-In USB-Cケーブル)商品ページ
Photo by Jakub Żerdzicki on Unsplash

